私快晴さんぽはSF小説が大好きです。あなたも好きですね?きっと。
現実にはおよそ起こりえなそうなSFの世界を見ていると、普通に人生を生きているだけでは見る事の出来ない景色、感じる事の出来ない世界を経験することが出来ます。
その非現実感がたまらない
また、もしかしたら将来こんな事が現実に起こり得るのかもしれないな、というなんとも言いようのない高揚感を感じる事も出来ますね。
SFのマンガを読むのとはまた違った感覚を味わう事が出来るのも魅力です。画がない分想像力を掻き立てられるんですよね。感受性豊かな人はマンガよりもよほど没入できると思います。
これまでそんな世界観に浸りたくて沢山のSFを読んできた私快晴さんぽが、あなたに読んでほしいおすすめのSFをご紹介したいと思います。
秋の夜長に読むもよし、夏の暑い日に読むもよし、春の桜の下で読むもよし、冬こたつにくるまりながら読むもよし、一年中よしです。
おすすめのSF小説
私が読んできた中で選りすぐりのSF小説をご紹介したいと思います。
全部読み終わった後は、きっと別のあなたになってる、くらいの世界観の広がりを見る事が出来る名作ぞろいですよ!
渚にて ネヴィル・シュート
名作中の名作。冷戦の最中に書かれ、戦争への悲哀を盛り込んだ内容となっています。
人間の愚かな行為によって世界はこうやって死滅していくんだ、というある種レクイエムのような物悲しさに浸れます。
突飛な武器や宇宙の彼方、異星人などが登場するわけではないのでSFっぽくないと言えばSFっぽくないですが、それでも現実には有り得なかった世界観で描かれているところに引き込まれていきます。
まぁ今後も起こり得ないかと言えばそうとも言い切れないけどね・・・
核戦争後の終わりゆく世界を描いていて最後まで生き残っている南半球のオーストラリアで暮らす人々に焦点が当てられています。
放射能の脅威が南下してくるなかで恐怖でパニックになるでもなく淡々と日々の生活をこなす人々が登場します。
現実ならもっと足掻くんじゃないかな?と思えたりもするものの、そこはこの作品の静かな美しさと捉えてもらえれば良いかと。
潜水艦での北半球への遠征もドキドキワクワクして面白くはあるんですが、やはり最後の日々をどう過ごすか、という人々の機微に注目です。
弱りゆく人々の様子は何とも悲壮感漂いますし、家族に何をしてやれるか、最愛の娘の最期は・・・。いやー、考えさせられる。
ラストの情景はまざまざと目に浮かぶようです。読み終わった後の余韻が素晴らしい。
星を継ぐもの ジェイムズ・P・ホーガン
ベストセラーですね。
謎に次ぐ謎、科学を駆使してそれを解き明かしていく登場人物たち、スリリングな展開が次から次へと押し寄せます。
まさにSF小説の金字塔と言える作品です。
月面で発見された5万年前の人間の死体、という衝撃的な内容から始まるストーリーで、有り得ない事の連続にどんどん惹き込まれて行ってしまう、
人間ってどこから来たのかとか、地球文明を遥かに超える文明がどこかにあるんじゃないかとかって考えただけでワクワクゾクゾクしますよね~。一度は考えた事がある人も多いはず。
人間という知的生物が誕生する確率は「ばらばらにした機械式時計を箱の中で振っていたら元通り組みあがった」とか「猿にペン持たせたらシェークスピアが出来上がった」とかそれくらい有り得ない数字だと聞いたことがありますので、人類の起源の謎に迫る本作は知的好奇心を刺激しまくりです。
続編以降は異星人登場しまくりで謎解きの要素が薄くなっていくのでハラハラ感が薄れちゃうんですが、本作は先の見えない謎を手探りで解きほぐしていく緊迫感を味わえるんでぜひ!
今の人間がどこから来たのか、そしてどこに行くのか、そんな果てしない眺めを感じてみたい人はぜひ読んでみて下さい。
2001年宇宙の旅 アーサー・C・クラーク
アーサー・C・クラークってモノリスとか巨大建造物とか、深淵の宇宙に存在するかもしれない「文明が遥かに進んだ異星人の作りしモノ」が好きですよね。
この名作「2001年宇宙の旅」でもそんなワクワクさせるような人工物が登場します。
導入部分は現代の宇宙の話とは全く違うところから始まるのでちょっと度肝を抜かれますが、全部後半に繋がっているのでワクワクソワソワしながら読みましょう笑
宇宙旅行の話の途中までは「AI(人工知能)」が人間を脅かすという、今流行りの「シンギュラリティ」を題材にしているなど、現代にも通じる話のオンパレードでとても楽しめます。
まぁここで登場するハルというAIも人間に命令された内容を咀嚼したら宇宙船にいる人間を排除するしかなかった、みたいな結論を出して行くんですが、今後こういう話は現実でも起こりそうで面白い。
例えば
「地球を汚染するモノを除去してくれ」
とAIに命令したら、最初はゴミだったり放射性物質だったり人間の感覚と合うものを排除するような方策を示すでしょうが、だんだんと
「地球を汚染してんのは人間だな!」
ってなっちゃいますよね~、絶対笑
物語の最後は今の人類を超えた存在に接触して精神世界というか宇宙空間というか不思議な世界での出来事へと焦点が移っていき、続編へと続いて行きます。
幼年期の終り アーサー・C・クラーク
今の地球を幼年期として、そこから脱皮・進化していく(させていく)過程を描いた作品。
人類の科学力を遥かに超えた異星人をオーバーロードと呼び、さらにその上にも何者かがいるという、もう地球人からしてみたらどうにもならない設定で、圧倒的な無力感を味わえる中身となっています笑
最後はオカルトちっくな内容になって行って、今の人類が人類でなくなっていく、そんな様子を淡々と描いています。
「星を継ぐもの」みたいな科学的検証とかはほぼ無くて、単に人類は進化したから「超物理学的な能力を使えるようになった」みたいな投げっぱなし感があるっちゃありますが、まぁそれも含めて本作の楽しみどころかと。
どこかの文明の進んだ異星人からしてみたら、今の地球の人類は原始的な猿のように見えるんですかね・・・。「人間って何だろ」、そんな事を考えさせられる作品。
宇宙のランデブー アーサーC・クラーク
アーサーC・クラークお得意の「宇宙空間に存在する異星人の作りし建造物」がどどん!と登場する本作。
直径20kmという巨大な金属の筒が太陽系に突入してきたので、それを調査しに向かう、そんな話。
ランデブーというのはこの巨大建造物と地球からの宇宙船が並行飛行して、何とかこの得体の知れない物体と接触したよ、っていう事ですね。
その異様な建造物の内部に入れちゃうってのがまたすごいんですが、この巨大金属建造物の中で繰り広げられるサバイバルがまたすごい緊迫感。
何度も訪れる危機を乗り越えながら探査・調査する作業員たちの苦闘が描かれてます。
きっとこの建造物を作った異星人は人類の稚拙な行動をあざ笑ってるんだろうなー
と上から目線で見てしまったことを反省。。
で結局この巨大建造物はそそくさと太陽系を飛び出して行っちゃうっていう謎を残した終わり方。
科学力が進みまくった異星人から見れば、この地球人による接触は「蚊が止まった」くらいの感覚なのかもしれないですね・・・。
人間がその辺の小さい蟻を見ても何も感じないってな感覚な
火星年代記 レイ・ブラッドベリ
火星を舞台として、そこで生活する人々の心の機微を描いた作品。
火星で普通に人が生活できる訳もなく、火星人もいる訳ない(?)ので現実感は薄いんですが、不思議な感覚、懐かしい想いに陥る作品です。
まぁ舞台が火星じゃなくても成立しそうな話ではあるのですが、荒涼とした世界観を表現するのには確かにピッタリだな、と読んでて思いました。
SFお得意の科学的な話はほぼ登場しないのですが、人の心の移ろいとか、家族への想いとか、他人の心なんて変えられないよとか、そういう「人間の精神的な奥深さ」を垣間見せられる、考えさせられる内容になっています。
ある種懐かしさを感じさせる内容の「火星年代記」、最終話を読み終わった時の、空しさにも似た余韻をぜひ感じてみて下さい。
海底ニ万里 ジュール・ヴェルヌ
ジュール・ヴェルヌ大好きな私。ワクワク感がハンパない。
SFっぽくはないのでこの記事では取り上げてませんが同著「十五少年漂流記」も大好き。全世界の子供たちに読んでほしい。
子供の頃に読んだワクワク感を忘れられずに、大人になってからも2度3度と読み返している不朽の名作です。
本当に海底を旅している気分に浸れる、そんな大作となっています。
海底で出会う未知の生物や不測の事態、それをネモ船長らの奮闘で乗り越えていく、そんな冒険活劇が繰り広げられます。
ストーリー的にはピークが何度かあるのが良いですね。ちょっと凪ぎの部分があってその次に急展開(大だこの襲来とか)が来て、それを乗り越えるとまた凪ぎ、そしてまた立ちはだかる大きな壁・・・。ずんずん読み進めちゃいますよ。
アニメ「ふしぎの海のナディア」の原案としても使われていて、その世界観はあなたを海底の不思議へといざないます・・・。
地底旅行 ジュール・ヴェルヌ
これまたジュール・ヴェルヌの冒険活劇「地底旅行」です。ほんとジュール・ヴェルヌの描く冒険ものはワクワク心を刺激するぜ・・・!
本当に旅している気分になるよな
突拍子もないSFという訳ではなく、アイスランドの火山の火口から降りて行って冒険が始まるという現実的にありそうな話なのも良い。
冒険が始まるまでが若干長い気もするが、それも含めて楽しむのがこの本の流儀。
数々の困難が襲ってきてもそれを知恵と勇気で乗り越える様を見ていて、まさに一緒に冒険している気分になれますし、想像力を掻き立てられる場面のオンパレードとなってます。
ほんと、ヴェルヌの冒険小説は時を忘れさせてくれる・・・。時間泥棒だぜ!
地球の長い午後 ブライアン・W・オールディス
宮崎駿監督「風の谷のナウシカ」に大きな影響を与えてそうな作品。
地球の半分が常に昼間、もう半分が常に夜、そして常昼の世界では植物が巨大に成長しかつ知性のようなものさえ獲得している、という結構ぶっ飛んだ設定です。
数億年後の地球上で進化した巨大な植物たちが幅を利かせる中、退化した人類が生き抜く物語となっています。
俺もアミガサタケにちょっくら寄生されてみたいような、みたくないような・・・
風の谷のナウシカでは、表面上積極的に襲ってくるのは虫でしたが(その実、一番恐ろしいのは腐海でしたが・・・)、本作では強烈な進化を遂げた植物が人類を根絶やしにしようと襲ってきます。
途中あっけなく死んでいく仲間の描写がなんとも空しい・・・。
緩慢な死を迎えつつある地球で、もう科学技術の進展もない様な世界の中で、終わりゆく人類がどう生きて行くのか、それを考えさせられます。
最後は「俺たちの冒険はこれからだ!」的な締めくくりですが、その先の世界は本当に人類にとって幸福の地になるのか、どうなのか、そんな後読感。
果しなき流れの果に 小松左京
日本人作家として一作品のみの紹介となってしまいましたが、いやー、タイトル通り本当に「果てしない」気分にさせてくれます。永遠にも似た時間旅行気分を味わえます。
序盤の「永遠に落ち続ける砂時計」の登場には想像力を掻き立てられましたね。そしてそこからストーリーが急展開する部分にも惹き込まれました。
途中からは誰が主人公なのかよく分からない、というか一人の人物の中に他の”意思”みたいなものが入り込んでくる設定で、読んでてふわふわした虚無感に苛まれます。
また未来のストーリーの中で登場する太陽系最果て(だったかな)の宇宙船発着場の何とも物寂しげな雰囲気にも虚無感を感じた事を覚えています。
読んでると自分と宇宙の境目が無くなって行く感覚に陥るぜ・・・
ラストはとても良い。良いです。愛する人の元に帰っていく様子がありありと目に浮かぶよう・・・。
まとめ
おすすめのSF小説をご紹介しました!
SF好きなら全部読んだ事あるだろレベルの名作が並んでしまいましたが、結局面白いSF小説を選ぶとこうなってしまうんです・・・。
まだあまりSFを読んだことがない!と言う方はぜひ参考に。
昔読んだ物から最近読んだ物までいろいろあったのですが、やっぱり名作と言われるSF小説は心を揺り動かしますね。
後読感としては空しい気分になるものや謎を残されて続きが気になるもの、人間って何だろうと考えさせられるものや、一つの冒険が終わった!的な感覚に陥るもの、いろいろですが、どれもこれも世界観が素晴らしく惹き込まれること間違いなしです。
日々の生活に疲れているような人にもおすすめで、現実とは全く違った世界観に没入するととてもリフレッシュできますよ。
春夏秋冬、いつ読んでも面白いSF小説をぜひ手に取ってみてください。
ttps://kaisei-eigo.com/comics-best200-200-101
最後までお読み頂きありがとうございます。もし少しでも役に立ちそうだと思われたら、ソーシャルメディアでの共有をお願いします。
コメント