別の記事で、TOEICは大学での単位認定、大学院入試に使えると書きました。
では、大学入試ではどうでしょうか。TOEICが活用されているのかどうか確認してみたいと思います。
今回も、TOEIC公式サイトのデータを元に見ていきます。元データは2016年10月・11月・12月時点の調査によるものです。
データは公式サイトを元にしていますが、今回、他所ではあまりない見せ方をしたいと思います。
まず、データについての前提をご確認ください。
・調査校751(全国の国立・私立)のうち、大学入試でTOEICを活用しているのは427。
・427の大学の中で、1614個の入試でTOEICが利用されています。結構すごい数です。
どんな大学入試に使われているか
TOEICは推薦や編入に多く活用されていると言われていますが、一般入試でも使われているのでしょうか。明らかにしてみたいと思います。
入試形態ごとのTOEIC活用入試数を表した、次のグラフをご覧ください。(「その他」はどのような入試形態か不明です。)
このグラフによると、その他を除けば349個のAO入試でTOEICが使われていて一番多いですね。AO入試での活用が広がっているようです。
また、推薦については公募・指定校・自己を全て合わせると467個の入試で使われている事になり、AO入試を抜きます。
ちまたで言われている、「TOEICは推薦入試で多く活用されている」という話は事実でしたね。AOも負けていませんけども。
一方、一般入試については、116個の入試でTOEICが使われているようです。全1614入試の7%に過ぎないという事になります。一般入試ではTOEICの活用はまだまだこれから、といった所です。
大学入試で求められるスコア
大学入試で求められるTOEICのスコアを見てみたいと思います。
次のグラフをご覧ください。ちなみに、求められるスコアが不明な入試は除いています。
このグラフはヒストグラムと言います。
見方を説明します。700点という所に25という数字がありますね。これは、651点~700点というスコアを求める入試が25個ある、という事を意味します。
このグラフによると、500点というスコアを求める入試が最多です。高校英語という土台の上に、TOEIC向けの勉強をすれば500点をとるのはそれほど難しくないでしょう。挑戦してみる価値はあります。
351点~600点を求める入試の数を合計すると、全体の80%を超えます。600点を超えるスコアを獲得しておけば、TOEICを利用する大部分の入試で活用できることになります。
一方、750点を超えるスコアを求める入試も若干ながら存在しています。33入試ですから、全体の4%となります。ほとんどが国際系の大学・学部・学科です。国際系と全く関係ない入試も一部ありますが。
自分が受けたい大学・学部・学科が求めるスコアを確認しておく必要がありますね。
公開テストが必要?IPテストも使える?
次に、入試には公開テストが必要なのかIPテストでも使えるのかを見てみます。
ちなみに公開テストとは一般の受験者が受ける月1回の試験で、IP(Institutional Program)テストとは企業・学校等の団体向けTOEIC試験です。IPテストは過去の公開テストが再利用されているようですので、難易度的には公開テストと同等と言えます。
これを見ますと、公開テストは全ての入試で使用可能なのに対し、IPテストのスコアは、半分以下(769)の入試でしか使えない事が分かります。可能な限り、公開テストを受験しそのスコアを保持しておいた方が良さそうです。
センター試験の代わりにTOEICのスコアを活用
文科省では、TOEICなどの資格試験の等級・スコアに応じて、大学入試センター試験の点数に換算する仕組みを導入しようとしています。
参考:産経ニュース
特にTOEICは780点を取ると、センター試験の英語科目を満点にする、といった方針を出そうとしています。スコアについては若干の上下はあるかもしれないのと、TOEICを入試英語の代わりにしていいのかという根本的な疑問はありますが、これは面白い取り組みですね。
TOEIC780点とセンター試験英語満点のどちらが難しいかですが、これは圧倒的にセンター試験満点の方が高難度でしょう。高校生にとってビジネス寄りの英語であるTOEICはとっつきにくいかもしれませんが、一発勝負かつ長文テーマも多彩なセンター試験で満点を出すよりは、何度も挑戦できるTOEICで780点を取る方が心理的にも学習量的にも負担が軽いはずです。
TOEICと高校英語の難度でいえばTOEICの方が難しい、という意見が多いですが、TOEICはパターンもある程度決まっていますし、受験英語をしっかり勉強できる人ならばTOEICで800点程度を取る事はそれほど難しい話ではないと考えられるのです。
何度も挑戦できる資格試験を大学入試に活用することで、生徒の日常的な学習意欲を高める目的があるそうですが、受験する側にとっても、一発勝負のセンター試験に全てを掛けるよりは選択肢が広がり、良い方向なのではないでしょうか。
大学入試にTOEICを活用しよう
いかがでしたでしょうか。大学入試にもTOEICは結構使われているようですね。結論としては、「大学入試を受ける人はTOEICを勉強して高スコアを取っておくと使える!」と言いたいです。
そして受験用に勉強してる英語は、TOEICにも大いに活かせます。むしろ英語を勉強しなくなった大学3年生などよりも、受験勉強をしている高校3年生の方が英語力があるのではないでしょうか。
またTOEICはビジネス寄りの英語を題材にしつつ、出題はパターンが決まっていて、語彙や文法もそれほど広い知識は必要ありませんので、勉強量に応じてスコアが伸びやすいテストとなっています。
志望校でTOEICが利用できるのであれば、大学受験英語にTOEIC用の勉強を上乗せして受験し、スコアを持っておくと良いかもしれませんね。
まとめ
・大学入試でもかなりの数がTOEICを活用している
・大学受験英語にTOEICようの勉強を上乗せすれば、ある程度のスコアは達成可能
・志望校のTOEIC活用状況を確認し、使えるようなら活かしてみよう
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