私の会社は全国異動のある会社です。
数は多くないが海外勤務もあり得る
毎年4月などは大量の社員が異動命令による転勤で東京→地方、地方→東京といった感じで大移動を行います。
本人が望んでいるのであればそういった遠隔地異動も良いのですが、そうでない場合は何のメリットがあるのでしょう?
もちろん、「会社のため」というのが前提にあるのでしょうが、遠方への転勤は社員にデメリットしかない気がするんですよね・・・。そしてそれは会社にとってのデメリットにもつながるのではないか、と考えます。
今回は遠方転勤について考えてみたいと思います。
人事異動はなぜ行われる?
異動は、
・会社・組織の成長のため
・人材交流のため
・(社員の成長のため)
といった理由で行われますね。
本社系のスキルを持った人が地方へ行ってノウハウを展開する、地方の現場的な知識を持った人が本社でそのスキルを活かして仕事を回す、といった事を期待して会社は異動を命じるわけです。
そして会社には人事権があるため原則異動を拒否できないのが嫌な点ですね。
「社員の成長のため」という理由も聞こえますが、まぁ建前ですよね。人事業務って結構大変で、社員個人個人の特性や成長のための策なんて一人一人考えてられないですもん。
もうランクや年齢などで当てはまりそうな人がいればその異動先にはめちゃう、なんて仕事の仕方をしている人事の人も大勢います・・・。
その結果、異動を命じられた社員が能力を発揮できない、やる気をなくす、病気になる、といったデメリットが発生してしまう訳です・・・。
いつまでもそんな人事異動の在り方を続けていて良いのでしょうか・・・。
遠方転勤のデメリット
人事系の仕事に携わったことのある経験から、遠方への異動はデメリットが多いと感じています。
主に社員の視点に立って考えてみます。
会社は社員がいるからこそ成り立つわけで、社員をないがしろにしていては未来はない・・・
大きな費用負担が発生する
会社の命令に従って遠方へ異動した場合、移動費や住居費、帰省費など、異動者本人に多大な経済的負担が発生します。
お金を稼ぐために働いているのに、異動で大きな費用負担が発生するのも変な話です。
会社から補助が出る場合もありますが、当然生活にかかる費用など考慮すれば全額出る訳でもありません。
また、独り身であればそうでもないですが、家族がいる場合で単身赴任の場合、支払いが二重になってしまい、特に電気代などの固定費が明らかに高くつきます。
こういった経済的負担は目をつぶる事が出来ません。
当然、会社としても引っ越しの補助費等の負担が発生する事になります。異動者本人・会社双方にとって無駄な費用が発生してしまうのです・・・。
家族に大きな負担がかかる
そもそも家族を持つ社員を遠方転勤させる事は「育児・家事をするな」と言っているようなものです。
カネカによるパタハラ問題も話題になりましたよね。
様々な事情から家族が一緒に転勤に付いて行く事の出来ない家庭も多いですから必然的に単身赴任となる人も多いです。
その場合、子供がいれば当然子供と離れる事になり育児に参加できないですし、本宅での家事なども全く出来ない事になります。
「家族を大切にしよう」なんていう建前も聞きますが、それを無視して社員を遠くに飛ばすことは果たして良い事なのでしょうか・・・。
そして家族が一緒に転勤に同行した場合であっても大きな負担が発生します。
例えば子供にとっての負担です。
転校して学校にすぐ馴染めるような適応力のある子供であればいいですが、少なからず新しい環境に慣れるのにはパワーがいるものです。
転校によって馴染めずに学校に行けなくなる子供もいます。
会社都合の異動で本人・家族に大きな負担を掛けられてしまう事も一要因となって、
・結婚したくない
・子供を作りたくない
・そもそも働きたくない
という人が増えているような気もして仕方ありません。。
カネカで男性社員が育休明けに転勤を命じられた事案も記憶に新しいですね。
家を買ったり子供が生まれたり、そういったイベントを狙うがのごとく遠距離転勤を命じる文化というか、家庭の事情を無視した企業のやり方が日本の少子化や働きたくない人々を生み出しているとしか思えません。
心身の病気に陥ってしまう人もいる
子供だけではないですね。異動者本人も新しい土地で働くことは大きな負担を強いられます。
遠隔異動先での生活・仕事に慣れずに心身の不調を患ってしまう人もいます。
事実、私も遠方への異動時、うつ的な症状を発症していました。
家族が遠くにいて育児などに参加出来ない事が大きな気がかりとなり、二重となった生活費の高騰が金銭的な負担としてのしかかります。そして会社でも慣れない仕事をこなす、心身に不調が出ない方が不思議、という物です。
縁もゆかりもない土地で病気になって帰らぬ人となった方も見てきました。
社員を追い込むような異動命令は果たして正しい事なのでしょうか・・・。
やる気をなくす社員もいる
そもそも遠方への異動に不満を持っている社員は、やる気をなくしてしまう可能性があります。
そうなれば会社としての生産性が低下することに繋がります。
例えば「家を買った社員は遠方へ飛ばせ」とかいうバカげた話が出るほど、せっかく居を構えても遠方へ異動させられては人生全く楽しめませんよね・・・。
そりゃやる気もなくすってもんです。
そもそも遠隔異動前提だとおちおち家も買えない・・・
しゃくし定規に社員を遠くに飛ばすことが会社にとってもダメージになる可能性があるわけですよ。
どのような転勤体系にすべきなのか
その土地で働きたい人を雇用してその地域の社員はその地域で働きたい人が担う、つまり遠方への異動がなるべくない人事体系にすることで、望まぬ遠隔転勤を無くすことが可能となります。
遠隔地転勤を望む社員のみを遠隔地異動の対象にすればよいのでは、と考えます。
まぁ実現するには色々ハードルがありそうだが、似たような勤務体系を実現している企業はある。
また、引っ越しを伴わない範囲内で勤務する人の給与体系を下げる会社がありますが、あれは何なんでしょうか・・・。
全国転勤できる人は使い勝手がいいから給料が高い?
そんな事ではなくて、いかに会社に貢献したかで給与を決めればいいだけのような気がするのですが。
まぁ、会社としては使い勝手のいい社員を確保するために「遠隔転勤は当たり前」というイメージを植え付けたいので、土地に根差した働き方がしたいという人の給与を下げて見せしめのようにしているのだとは思います。
若い世代の社会人を中心に働く事・幸せに対する価値観も変わってきているようで、
・転勤より家族優先
・出世よりも自分らしい働き方
・都会よりも地元で働きたい
といった考えを持つ人が増えてきています。
社員に負担をかけ続ける会社のやり方がこれからの時代の合っているのかどうか、会社はよく考えた方が良いですよ・・・。
遠方異動を回避するには
遠方への異動を回避できる手段がないかを調べてみましょう。こればっかりは勤めている会社によって違うので、自身の意思で確認するしかありません。
遠隔地転勤を避けるための制度が社内にあるなら使ってみるのも手です。
・子育て
・介護
・病気
などなど、理由があるのであれば会社の制度をフル活用してみましょう。
子育てを理由に遠隔異動を回避できる制度が社内にあるので、私も実際に使っています。
ただ、これらの制度は何らかの制限があったり何年も長期間使うと給与面などで不利が発生する可能性もありますから、使いどころは要注意です。
遠隔地転勤を強要されてしまう場合
それでも望まない遠隔地異動を強要されるなら、働き方について考えてみる必要があるかもしれません。
自分の人生ですから自分の生きやすいように人生を進みたいですよね。
会社の意向と自分の考え方に相容れないものがある場合は、もうその会社でやっていく事が難しい、そんな可能性もあり得ます。
まず「MIIDAS」というサービスで自分の市場価値を調べてみる事から始めてみるのはどうでしょうか。
そして仕事に関するアドバイザーが専門的な見地からアドバイスをしてくれる「ハタラクティブ」といったサービスに登録して”相談”をしてみるというのも働き方を考える第一歩と言えるでしょう。
まとめ
以上、「遠隔地転勤はデメリットだらけ!自分が送りたい人生を考えてみよう」的なお話しをしてきました。
会社の都合で社員を振り回す時代は終わったのではないでしょうか。
「うちは全国転勤必須だから!」
そんな時代遅れな考えを社員に強要するような会社は総スカンを食らう時代に突入している気がします。
実際に人事業務や遠隔地異動を経験して来て、そう感じている。
働き方に対する考え方も大きく変わってきているようですし、遠隔地への異動はデメリットだらけでおかしな事だ、という方向へ変わっていけると良いなと考えています。
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